物件そのものには何ら問題が無かったとしても、その周辺の環境に問題があったならば、「環境瑕疵(かし)物件」と呼ばれ、買い手が付きにくいことがあります。 環境瑕疵物件の代表的な物としては、以下の通りです。
・眺望が売りの物件を購入したが、隣にマンションが建ってしまったので見えなくなった
・年中日当たりが良い事を条件に購入したにもかかわらず、冬は1日中日陰になってしまっている
・繁華街が近く、時間に関係なく騒ぎ立てる声が聞こえてしまう
・線路の傍にあるため、電車が来る度に音が響き、家が揺れる
・大型トラックが家の前の道を通るだけで揺れる
・500m風上にある養鶏場の臭いに悩まされている
・道路の向かいの工場から不快な臭いがしている
・近所に火葬場が作られ、家の前を通る霊柩車に居心地の悪い思いをしている
・隣に墓地があり、窓を開ける度に目に入り、気味が悪い
・暴力団関係者の自宅が子供の通学路の途中にあり、何かありそうで不安だ
・購入後に噂で暴力団の事務所が近隣にあるらしいと聞いた。事前に聞いていたら買わなかった。
・家から50mのところにゴミ屋敷があり、そこの住人に嫌味を言われてつらい。
・隣家の住人が毎晩大音量で音楽を聴いていてうるさい。説得しても改善されなかった。
瑕疵の中には、買い手への告知義務が発生するものも存在します。 また、瑕疵を知っていながら告知を怠ると、賠償問題や契約破棄に発展する場合があります。 このような不要なトラブルを回避するため、認識している瑕疵は全て告知することをお勧めします。
買い手が一般的生活程度の注意力を働かせたにも関わらず、その瑕疵に気づかなかった、もしくは告知されなかった瑕疵を「隠れたる瑕疵」と呼びます。 物件の引き渡し後に初めて買い手がこの瑕疵に気づいた場合、売り手は買い手に賠償金や契約の破棄、物件の補修などの「瑕疵担保責任」の履行を請求されてしまいます。
環境瑕疵は他の瑕疵とは違い、物件自体が抱える問題ではないため、買い手が実際に暮らしてみないと気づかないであろう問題や、近隣の住宅・建築事情などの情報を明確にしておくことが必要となります。
更に、他にも瑕疵が無いかどうかを知識を持つ仲介業者と慎重に調査し、その上で事前に口頭や書面で買い手に瑕疵を告知したのであれば、「隠れた瑕疵」は発生せず、綺麗に売却を終えることが出来ます。
また、瑕疵担保責任は、売り手が個人である時に限り、瑕疵担保責任を負わないという特約の付与や、責任を負う期間の設定を自由に行えます。
それを踏まえますと、売却方法には以下の2つが考えられます。
1.見合った価格で、瑕疵担保責任を長く付けて売却する。
2.瑕疵担保責任を負わないという特約を付け、相場価格よりも値段を落として販売する。
騒音や振動の被害であれば、リフォームを行ってから売却する、もしくはリフォームに掛かる費用分価格を落とすなどの方法も、瑕疵のマイナスをフォローした上で購入してもらうという点では有効です。
しかし、上記のどちらの方法を取るにしても事故物件である旨を買い手に告知する義務が発生することを忘れてはなりません。
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